開業届の提出期限は、事業を開始した日から1か月以内です。これは所得税法に定められた原則で、期限を過ぎても受け付けてもらえます。
期限の数え方
「事業開始日」から1か月以内が基準です。開業日を4月1日にしたなら、5月1日ごろまでが目安になります。
開業日は、売上が立った日とは限りません。仕事の準備を始めた日や、屋号で営業を始めた日など、事業として動き出した日を自分で決めます。
ただし、あまりに実態とずれた日付は避けましょう。最初の依頼を受けた日や、道具を事業用にそろえた日など、あとから説明できる日にしておくと安心です。
期限を過ぎたらどうなるか
出し忘れても、罰則が科されるのが通常というわけではありません。一般的には、遅れて出しても受理されます。
ただ、窓口で遅れた理由を聞かれることがあります。そのときは、事実をそのまま伝えれば十分です。
気をつけたいのは、開業届そのものより、同時に出す書類の期限です。ここが本当に困りやすい点です。
期限が気になる人がよく聞くこと
期限について、よくある質問を整理します。
「1か月を数え間違えたらどうなるか」という質問には、1日や2日のずれで大きな問題になることは少ない、と考えられています。ただ、扱いは窓口の判断によるので、気づいたら早めに出しておくのが安全です。
「土日や祝日が期限の最終日にあたる場合はどうなるか」という質問もあります。この場合は、翌営業日までに出せば間に合うのが一般的な扱いです。心配なら、前の営業日に出しておけば安心です。
「郵送だといつの日付になるか」は、消印の日付が提出日として扱われます。郵便局の窓口で出した日の消印をもらうと、あとで確認しやすくなります。
青色申告承認申請書には別の期限がある
青色申告を使いたいなら、「青色申告承認申請書」を出します。期限は次のとおりです。
- 1月1日から15日までに開業した場合は、その年の3月15日まで
- 1月16日以降に開業した場合は、開業から2か月以内
開業届の1か月より、青色申告のほうが長く設定されています。ただし、この期限を過ぎると、その年は青色申告の特典を受けられません。
そのため、開業届と青色申告承認申請書は、同じ日に出すのが無難です。1回の訪問で済み、出し忘れも防げます。
副業で始める場合の考え方
会社員を続けながら副業を始める場合も、事業として継続的に収入を得るなら、開業届を出すことができます。
ただし、副業の収入が少ないうちは、届け出が義務とは限りません。まずは自分の状況を確認します。
- 本業の勤め先の就業規則で、副業が認められているか
- 副業の所得が年間20万円を超えると、確定申告が必要になる場合がある
- 住民税の扱いで、勤め先に副業が伝わる可能性がある
細かい条件は人によって違います。判断に迷う場合は、税務署や税理士に相談してください。
開業日を決めるときの考え方
期限は開業日から数えるので、開業日の決め方で余裕が変わります。決め方の例を挙げます。
- 最初の仕事の依頼を受けた日を開業日にする
- 屋号や名刺、サービスの案内ができて営業を始めた日にする
- 会社を辞めた翌日など、区切りのよい日にする
どれを選んでも問題はありません。大切なのは、自分で説明できる日を選ぶことです。
開業準備の費用が先に発生している場合は、その準備を始めた日を開業日にする考え方もあります。準備費用が経費になるかどうかは、事業との関係で判断されます。迷う場合は、税務署や税理士に確認してください。
開業日を前の日付に書いて、期限の計算を調整したくなることがあります。実態とずれた日付は、あとで説明に困ることがあるので避けましょう。
出さないという選択もある
開業届は、出さなければ事業を始められないものではありません。出さずに確定申告をする人もいます。
ただ、開業届を出すと、次のような場面で話が進めやすくなります。
- 屋号付きの口座を作るとき
- 取引先に事業者であることを示すとき
- 青色申告の手続きを進めるとき
逆に、出さないままだと、青色申告の特典が使えません。しっかり事業として続けるつもりなら、出しておくほうが選べる道が広がります。
期限の管理に慣れていない人は、開業の準備を始めた時点で、手続きの一覧を作ると安心です。やることを書き出すだけでも、頭の中が整理されます。
一覧には、開業届、青色申告承認申請書、事業用口座、国民健康保険の切り替えなどを入れておきましょう。それぞれに期限の日付を書き、終わったらチェックを入れます。
遅れたときの出し方
期限を過ぎていても、出し方は通常と変わりません。窓口、郵送、e-Taxのどれでも受け付けてもらえます。
開業届の「開業日」の欄には、実際に事業を始めた日を書きます。出した日の日付を書くわけではありません。そのため、書類の上でも、遅れて出したことが読み取れます。
窓口で遅れた理由を聞かれたら、「忘れていた」「準備に手間取った」など、事実を簡潔に伝えれば十分です。長い言い訳を用意する必要はありません。
遅れて出した場合でも、青色申告承認申請書の期限が残っているなら、同じ日にまとめて出しましょう。こちらの期限は開業から2か月以内なので、まだ間に合う場合があります。
次にやること
次の3つを、今日のうちに決めましょう。
- 開業日を、あとから説明できる日付で決める
- 開業日から数えて、1か月後と2か月後の日付をカレンダーに入れる
- 開業届と青色申告承認申請書を、同じ日に出す予定を立てる
すでに期限を過ぎていても、あきらめる必要はありません。気づいた日が、動き出す日です。
期限を意識するときは、「開業日」「開業届の期限」「青色申告の期限」の3つを、1枚のメモに書いて並べておくと迷いません。たとえば、開業日が4月10日なら、開業届は5月10日ごろまで、青色申告承認申請書は6月10日ごろまで、といった具合です。
カレンダーアプリに、期限の1週間前の通知も入れておきましょう。忙しい時期に期限を忘れるのが、いちばん多い失敗です。通知があれば、前日に慌てずに済みます。
事業を始めたばかりの頃は、お客様探しや商品づくりに気を取られがちです。しかし、期限のある手続きは、先に片付けておくと、そのあとの時間を落ち着いて使えます。
提出するときは、必要な書類をそろえてから動くのがおすすめです。用紙、マイナンバーのわかるもの、本人確認書類、印鑑、控え用の封筒などを、前日にまとめておきましょう。
提出が終わったら、控えの写真を撮ってクラウドに保存しておくのもおすすめです。紙をなくしても、受付日を確認できます。
税金や制度の扱いは変わることがあります。詳しくは税務署や税理士などの専門家に確認してください。




