ひとり起業の商品アイデアは、新しく発明するものではなく、すでに自分が持っている経験やスキルのなかから見つけるのが近道です。自分の経験、人から頼まれてきたこと、周りの困りごとの3つを書き出すと、候補が見えてきます。
経験を棚卸しする
まず、これまでの仕事や暮らしで、自分がやってきたことを書き出します。
- 仕事で身につけた技術や知識
- 趣味で長く続けていること
- 失敗して学んだこと
- 人より早くできること、苦にならないこと
仕事の経験は、肩書きではなく具体的な作業で書きます。たとえば「営業」ではなく、「見積書を作る」「新規のお客様に電話する」「資料を分かりやすく直す」といった細かさです。
細かく書くと、他の人が時間をかけて困っている作業が、自分には短時間でできると気づくことがあります。それが商品の種になります。
人から頼まれたことを集める
自分では当たり前だと思っていることが、他の人には価値のあることがあります。
過去に、友人や同僚から「これ、どうやるの?」「ちょっと手伝って」と言われたことを思い出してみてください。何度も頼まれたことは、需要がある証拠です。
- 資料の見直しを頼まれた
- パソコンの設定を聞かれた
- 旅行の計画を立ててほしいと言われた
- 子どもの勉強の相談を受けた
思い出せないときは、身近な人に「私に頼みたいことはある?」と聞いてみる方法もあります。意外な答えが返ってきて、自分では気づかなかった強みが見えます。
周りの困りごとを観察する
次に、周りの人が困っていることを探します。
- 同業者が愚痴をこぼしていること
- SNSで繰り返し出てくる質問
- 自分が過去に困って、解決するのに苦労したこと
- 家族や友人が時間をかけている面倒な作業
自分が苦労して解決した経験は、同じ悩みを持つ人にとって価値があります。「3年前の自分に教えたいこと」を書き出すのも、よい方法です。
困りごとの大きさも見ましょう。小さな不便より、時間やお金を実際に使っている悩みのほうが、対価をいただきやすくなります。
候補を3つに絞る
書き出した候補から、次の3つの条件で絞ります。
- 自分が続けても苦にならないか
- 困っている人が実際にいそうか
- 対価をいただく理由が説明できるか
3つとも満たす候補を、まず3つ選びます。多すぎると決めきれなくなるので、3つにとどめておきます。
その3つを、「誰の」「どんな困りごとを」「どう解決するか」の一文にしてみましょう。一文で書けない候補は、まだ形が定まっていないということです。
小さく確かめる
絞った候補は、すぐに商品にしなくても構いません。まず、人に話してみる段階から始めます。
身近な人に、「こういうサービスを考えているけれど、どう思う?」と聞いてみてください。お世辞ではなく、「自分なら使いたいか」を聞くのがコツです。
反応がよいものは、小さく試します。無料や低価格で数件受けてみて、手応えを確かめます。うまくいかなければ、次の候補に移るだけです。
最初の商品を一生続ける必要はありません。まずは試してみて、手応えのある方向に寄せていきましょう。
アイデア探しは、一人で悩み続けるより、人に話すほうが進みます。自分では取るに足らないと思っていることが、相手には新鮮に聞こえることがあります。
話す相手は、友人や元同僚、家族など、遠慮のいらない人で構いません。「こんなことを考えているんだけど」と軽く切り出して、反応を見ます。
反応が薄いときは、それも情報です。その切り口では伝わりにくいということなので、言葉や対象を変えて、もう一度試してみましょう。
候補が決まらなくても、焦る必要はありません。書き出して眺めるうちに、気になる切り口が少しずつ見えてきます。
アイデアを広げる質問
候補が少ないときは、次の質問を自分に投げかけてみてください。
- 時間がかかっても、苦にならない作業は何か
- 友人に何を相談されることが多いか
- 過去の職場で、褒められたことは何か
- お金を払ってでも、手放したい作業は何か
- 3年前の自分に教えたいことは何か
どの質問も、答えをそのまま商品にする必要はありません。答えの共通点を探すと、自分の強みや関心の方向が見えてきます。
質問への答えは、紙に書き出して、あとから見返せるようにしておきましょう。
避けたい思い込み
アイデア探しで、つまずきやすい思い込みがあります。
- 「特別な才能がないと商品にならない」
- 「すでにやっている人がいるから無理」
- 「自分が当たり前にできることに価値はない」
1つ目は、実際には、特別な才能より「相手の悩みに合っているか」のほうが大きな要素です。普通のスキルでも、組み合わせたり、対象を絞ったりすると、独自の商品になります。
2つ目は、同じ分野に他の人がいるのは、需要がある証拠と考えられます。競合がいない分野は、そもそも需要がない可能性もあります。違いを出すなら、対象の人や提供の仕方で工夫できます。
3つ目は、自分には簡単なことでも、知らない人にとっては大きな壁です。だからこそ、教えたり代行したりする価値があります。
こうした思い込みが浮かんだら、書き出して、本当にそうかを一つずつ確かめてみましょう。
次にやること
今日は、次の3つを実行してみましょう。
- ノートに、経験・頼まれたこと・困りごとを、それぞれ10個ずつ書く
- 候補を3つに絞り、一文で書く
- 身近な人1人に、その3つのうちどれが気になるかを聞く
答えをもとに、1つ選んで、次の小さな試しを計画します。
アイデアのメモは、スマートフォンのメモ帳などに、思いついたときにすぐ書けるようにしておくと便利です。通勤中や入浴中に、ふと浮かぶことも多いからです。週に一度、まとめて見返す時間を作ると、整理が進みます。
アイデアが出そろったら、いったん寝かせて、数日後にもう一度見直してみてください。時間をおくと、本当に気になるものと、そうでないものが分かれてきます。自分の中で、繰り返し浮かぶ候補は、続けられる可能性が高いものです。そこから試していきましょう。
なお、アイデアを探す期間には、期限を決めておくのがおすすめです。たとえば2週間と決めて、その間に書き出しと人への相談を済ませます。期限がないと、考えるだけで時間が過ぎてしまいます。決めた日に、候補を1つ選んで次の段階へ進みましょう。
一人で考えて行き詰まったときは、地域の創業相談や、商工会議所の窓口を使う方法もあります。無料で話を聞いてもらえる場合が多く、第三者の視点で、強みや市場の見方を教えてもらえます。思い込みを外すきっかけにもなります。
考えた内容は、人に見せられる形にしておくと、相談がしやすくなります。お客様に伝わるかどうかを基準に、少しずつ整えていけば十分です。
収入が得られるかどうかは、人や状況によって変わります。無理のない範囲で試してください。




