ひとり起業・ひとり社長の始め方、商品づくり、仕事の仕組み化をまとめています。

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開業の手続き

個人事業主と法人はどっちで始める?比べる5つの点

目次
  1. 設立の手間と費用
  2. 判断に迷ったときの考え方
  3. 税金の違い
  4. 社会保険の違い
  5. 経費にできる範囲の違い
  6. 取引先からの見られ方
  7. やめるときの手間
  8. 法人にするタイミングの目安
  9. 次にやること

ひとりで小さく始めるなら、まず個人事業主で始める人が多いです。設立の手間と費用が少なく、やめるのも簡単だからです。法人は、売上や利益が大きくなってから、あるいは取引先に求められたときに考えれば遅くありません。

設立の手間と費用

個人事業主は、税務署に開業届を出すだけで始められます。費用はかかりません。

法人(株式会社や合同会社)は、定款を作り、法務局に登記します。登録免許税や定款認証の費用などがかかり、準備に数週間かかることもあります。

費用の金額は設立の形によって変わります。具体的な額は、法務局や公証役場の案内で確認してください。

個人事業主から法人への切り替えは、あとから行えます。事業の内容や資産を引き継ぐ手続きは必要ですが、乗り越えられない壁ではありません。

反対に、法人から個人事業主に戻すのは、手間が大きくなりがちです。そのため、迷ったときは個人事業主から始めるほうが、後戻りしやすい選択といえます。

判断に迷ったときの考え方

ここまでの点を並べても、判断がつかないことがあります。そのときは、次の問いに答えてみてください。

  • 1年後の売上は、どのくらいを見込んでいるか
  • 取引先に、法人での契約を求められる可能性はあるか
  • 事業がうまくいかなかったとき、身軽にやめられる状態でいたいか

多くの場合、最初の1年はまだ数字が読めません。読めないうちは、手間が少なく、戻りやすい個人事業主を選ぶのが現実的です。

売上が見えてきたら、改めて比べればよいのです。

税金の違い

個人事業主は所得税がかかります。所得が増えるほど税率が上がる仕組みです。

法人には法人税がかかります。会社の利益には法人税、役員報酬には所得税がかかり、二重に見えます。

利益が小さいうちは、個人事業主のほうが税負担が軽く済むことが多いです。利益が大きくなると、法人のほうが有利になる場合があります。

どの水準で逆転するかは、収入の構成や経費によって変わります。目安を知りたいときは、税理士に試算を頼むのが確実です。

社会保険の違い

個人事業主は、国民健康保険と国民年金に入るのが基本です。

法人は、代表者ひとりでも健康保険と厚生年金に入る必要があります。保険料は会社と本人で折半しますが、ひとり社長の場合は両方とも自分で払うことになります。

そのため、法人にすると、社会保険の負担が増えて手取りが減ることがあります。一方で、将来の年金額は厚生年金のほうが手厚くなる傾向があります。

どちらが得かは、働き方や年齢で変わります。月々の手取りだけでなく、将来の受け取りも含めて見てください。

経費にできる範囲の違い

個人事業主でも法人でも、事業に必要な費用は経費にできます。ただ、個人事業主は、事業とプライベートの両方で使うものを、あん分して経費にすることが多いです。

たとえば、自宅で仕事をする場合の家賃や光熱費は、仕事で使う面積や時間で割って計上します。

法人の場合、社宅や役員の保険など、使える仕組みが広がります。ただし、その分だけ、会社のお金と個人のお金をはっきり分ける必要があります。

ひとり社長の法人でも、社長個人の生活費を会社の経費にすることはできません。ここを混ぜると、税務調査で指摘されるおそれがあります。

取引先からの見られ方

法人のほうが、取引先から信用されやすい場面はあります。たとえば、大手企業との取引で、法人でなければ契約できないと言われることがあります。

ただ、個人事業主でも仕事を受けている人は多く、すべての場面で法人が有利というわけではありません。自分の仕事の相手がどんな条件を出すかを確かめるのが先です。

契約書や取引口座の条件に「法人のみ」と書かれているかどうかを、見込み客の様子から探っておくと判断の材料になります。

やめるときの手間

個人事業主は、税務署に廃業届を出すだけで終えられます。

法人は、解散と清算の手続きが必要で、費用と時間がかかります。休眠させる場合でも、税務上の届け出や、地方税の均等割の負担が残ることがあります。

まだ事業が軌道に乗るかわからない段階では、個人事業主のほうが身軽です。試してみて、うまくいったら法人にする、という順番を選ぶ人が多いのはこのためです。

法人にするタイミングの目安

法人化を考える人が多いのは、次のような場面です。

  • 売上や利益が増えて、税負担が重く感じられるとき
  • 取引先から法人での契約を求められたとき
  • 人を雇ったり、事業を大きくしたりする予定があるとき
  • 事業の責任を、個人から切り離したいとき

どの場面でも、税理士に相談して数字を試算してもらうと、判断しやすくなります。

「利益がいくらになったら法人にする」という目安を、よく聞きます。ただ、正確な数字は人によって違うので、他人の基準をそのまま使うのは避けましょう。

自分の場合の損益を、個人と法人で並べて見積もるのが、確実な方法です。

次にやること

今日できることは次のとおりです。

  • 1年後に見込む売上と経費の範囲を、紙に書く
  • 取引を考えている相手に、法人の条件があるかを調べる
  • 最初は個人事業主で始め、法人にするかを見直す時期(たとえば1年後)を決める

あとから個人事業主から法人に切り替えることもできます。最初の選択で一生が決まるわけではありません。

最後に、個人事業主と法人の選び方で、よくある誤解を整理しておきます。

「法人のほうが節税になる」という話はよく聞きますが、利益が小さいうちは、かえって負担が増えることもあります。社会保険や税理士への依頼費用、決算の手間などが、上乗せされるためです。

「個人事業主だと信用がない」という話も、業種によります。個人で受けられる仕事は多く、法人であることが条件になるのは、一部の取引です。

どちらも、聞いた話をそのまま信じず、自分の状況に当てはめて確かめることが大切です。迷ったら、まず個人事業主で始めて、1年ほど様子を見るのが、無理のない進め方です。

あわせて、法人にする場合の準備期間も見ておきます。定款の作成や登記には、書類の準備と役所のやり取りが必要で、思ったより時間がかかります。取引先の都合で急ぐ場合は、専門家に依頼する選択肢もあります。

最後に、相談先を決めておくと安心です。商工会議所や、自治体の創業相談の窓口は、無料で話を聞いてくれることがあります。税理士に頼む前の整理にも役立ちます。

決めたあとも、年に1度は見直す機会を作りましょう。売上や取引先の状況が変われば、最適な形も変わっていきます。

迷いが残るなら、紙に「個人のままの場合」と「法人にした場合」の2列を作り、手取りと手間を書き比べてみてください。

税金や社会保険の扱いは制度の改正で変わります。詳しくは税務署や税理士などの専門家に確認してください。