ひとり社長のタスク管理は、ツールを選ぶ前に「やることを1か所に集める」「優先順位の基準を決める」「見直す時間を決める」の3つを決めておくと、うまくいきます。道具を変えても整理されないのは、この3つが決まっていないことが多いからです。
なぜタスク管理が必要か
ひとりで事業を回すと、営業、制作、事務、経理、発信など、あらゆる仕事を自分でこなします。やることが頭の中に散らばっていると、忘れや抜けが起こります。
また、緊急ではないけれど大切な仕事、たとえば集客や商品の改善は、後回しになりがちです。目の前の依頼に追われて、気づけば数週間が過ぎていた、という状況になりやすいです。
タスクを書き出して見える形にすると、頭の中が軽くなります。「覚えておく」という負担がなくなり、目の前の作業に集中できます。
決めること1:やることを集める場所
まず、すべてのタスクを入れる場所を1か所に決めます。
- ノートや手帳
- スマートフォンのメモアプリ
- タスク管理アプリ
- 表計算ソフト
どれでも構いません。大切なのは、「ここを見れば全部分かる」という1か所にすることです。複数の場所に分散すると、見落としが起こります。
思いついたときにすぐ書き込める場所がよいです。普段から手元にあって、開くのに手間がかからないものを選びましょう。
メールやチャットで依頼を受けたときも、その場でタスクとして書き写す習慣をつけます。メールの中に埋もれたままにしないことが、抜けを防ぐコツです。
決めること2:優先順位の基準
タスクが溜まったら、優先順位をつけます。基準を持っていないと、毎回迷って疲れてしまいます。
簡単な基準は、「期限」と「大切さ」の2つの軸です。
- 期限が近く、大切なもの:すぐにやる
- 期限は遠いが、大切なもの:時間を確保して、計画的にやる
- 期限が近いが、大切ではないもの:手短に済ます、または頼む
- 期限も遠く、大切でもないもの:やらない、または後回し
特に意識したいのは、2番目の「期限は遠いが大切なもの」です。集客や商品づくり、学びなど、事業を育てる仕事の多くがここに入ります。毎週、この種類の仕事に使う時間を確保しておきましょう。
また、「やらないこと」を決めることも、優先順位の一部です。全部をやろうとせず、やらないものを決めて、タスクの数を減らします。
決めること3:見直す時間
タスクの一覧は、見直さなければ、すぐに古くなります。
- 毎日:朝の5〜10分で、今日やることを3つ決める
- 毎週:週の終わりか始めに、30分ほど振り返り、来週の計画を立てる
毎日の見直しでは、一覧の中から、今日やるものを選びます。欲張らず、実現できる数に絞ります。3つ終わらせることを目標にすると、達成感が得られます。
毎週の見直しでは、終わったこと、終わらなかったこと、来週やることを確認します。終わらなかった理由を考えると、時間の見積もりのずれに気づけます。
見直しの時間は、カレンダーに予定として入れておきましょう。決めておかないと、忙しい日に後回しになります。
タスクの書き方
タスクの書き方にもコツがあります。
- 動詞で始める(「見積書を送る」「記事の構成を考える」)
- 1つのタスクは、30分から2時間くらいで終わる大きさにする
- 大きな仕事は、小さな手順に分ける
- 期限があるものは、日付を書く
「ホームページ」のような名詞だけのタスクは、何をすればよいか分かりません。「ホームページのトップの文章を書く」のように、具体的な行動にします。
大きなタスクは、始める気が起きにくくなります。「契約書を作る」なら、「ひな形を探す」「項目を書き出す」「内容を確認する」と分けると、取りかかりやすくなります。
よくある迷いと答え
Q. ツールはどれを選べばよいですか。
A. 無料で試せるものが多いので、いくつか試してみてください。続けやすいものが、あなたに合うツールです。紙の手帳が合う人もいます。
Q. 計画どおりに進まないのですが。
A. 計画どおりに進まないのは普通です。想定より時間がかかった理由を記録して、次の見積もりに活かしましょう。
Q. 依頼が急に入ったときは。
A. 今のタスクの一覧に加えて、優先順位をつけ直します。何かを後ろにずらす判断をして、無理に全部をこなそうとしないことが大切です。
タスク管理に慣れてきたら、時間の見積もりも記録してみましょう。タスクごとに、予想した時間と、実際にかかった時間を書き残します。何度か繰り返すと、自分の見積もりの癖が分かります。
多くの人は、作業時間を短く見積もりがちです。ずれが分かれば、次からは余裕を持った計画を立てられます。余裕のない計画は、遅れが出たときに、ほかの予定まで崩れてしまいます。
また、1日のうちで、集中しやすい時間帯を知っておくことも役立ちます。頭を使う仕事は集中できる時間に、事務的な作業は疲れてきた時間に割り当てると、効率が上がります。
タスクを終えたときには、チェックを入れて、達成感を味わいましょう。終わったタスクが積み上がるのを見ると、前に進んでいる実感が持てます。ひとりで働く人にとって、この実感は、続けるための大切な支えになります。
続けるコツ
タスク管理は、続けて初めて効果が出ます。
- 最初は、シンプルな仕組みで始める
- 毎日見る習慣をつける
- 完璧に使いこなそうとしない
- 合わなければ、仕組みを変える
凝った仕組みを作ると、管理自体が負担になります。タスクを書いて、終わったら消す。これだけでも十分に役立ちます。
次にやること
今日できることは次のとおりです。
- 頭の中にあるやることを、すべて書き出す
- 「期限」と「大切さ」で、優先順位をつける
- 明日やる3つを決める
- 毎週の見直しの時間を、カレンダーに入れる
この4つができれば、タスク管理の土台が整います。ツールは、その後に選んでも遅くありません。
体調や家庭の事情で、計画どおりに動けない日もあります。そんな日のために、予備の時間を週に半日ほど空けておくと、遅れを取り戻せます。予定を詰め込みすぎないことが、長く続けるための工夫です。
また、タスクの一覧には、仕事だけでなく、休む予定や家族との約束も入れておくと、無理のない計画が立てられます。事業と生活の両方を見渡せる一覧にしておくと、ひとりで働くリズムが整いやすくなります。
週の終わりには、終わったタスクを数えて、自分をねぎらう時間を取りましょう。
ツールを乗り換えたくなったときは、現在の仕組みの何に困っているのかを書き出してから決めましょう。困りごとが明確になれば、新しいツールで解決できるかを判断できます。
仕事の進め方は人によって異なります。自分に合う方法を、試しながら見つけてください。




